取引が行われる際に交渉をしている双方が利益を得られるようになるという形態です。
日本にも古来から商売人の教えがあります。
近江商人は、大坂商人・伊勢商人と並ぶ日本三大商人の一つです。
「近江の千両天秤」という諺もあるように、近江(滋賀県)に本店を置き、天秤棒を担いで日本各地を行商して豪商へと成長したことで知られています。
その近江商人の活動理念として有名なのが、
売り手よし
買い手よし
世間よし
いわゆる三方よしの精神です。
先日、釣った魚を釣り人から買い取るっていう回転寿司あるからって行ってみました。
面白いシステムです。
・釣り人は食べきれない分を換金出来る
・お店は天然の魚介類を直接仕入れることが出来る
・お客はお得に新鮮な魚を食べることが出来る
まさに皆トクするwin-winなビジネスです。
売り手よし(釣り人)
買い手よし(お店)
世間よし(お客)
これこそまさしく三方よしです。
お客様(買い手)に喜んでもらうことはもちろん、社会貢献ができてこそ良い商売であるという考え方であり、社会との関わりを重視するソーシャルマーケティングの視点が含まれています。
他国に赴いて商行為を行い、地盤を築いていった近江商人だからこそ、信頼を得て商売を成功させるためには、私利私欲の為だけでなく、その地域のことを心から想い、地域に貢献することが必要であるという考え方に至ったのでしょう。
さらに社会貢献については、見返りを求めず、人知れず行うことを良しとしています。(陰徳善事)
近江商人の精神は時代を越えて受け継がれており、「三方よし」以外にも「近江商人の商売十訓」が有名です。
近江商人の商売十訓
①商売は世の為、人の為の奉仕にして、利益はその当然の報酬なり
(ビジネスは社会や世間に貢献してた結果として利益を得る)
②店の大小よりも場所の良否、場所の良否よりも品の如何
(資本の大小よりも立地が良さ、立地よりも商品が貢献できるか?)
③売る前のお世辞より売った後の奉仕、これこそ永遠の客をつくる
(売って終わりではなくアフターケア、顧客をファンにする)
④資金の少なきを憂うなかれ、信用の足らざるを憂うべし
(お金があれば云々ではない、信用の足る人物になれ)
⑤無理に売るな、客の好むものも売るな、客の為になるものを売れ
(自分都合に売らない、相手の問題解決になるものを提案せよ)
⑥良きものを売るは善なり、良き品を広告して多く売ることはさらに善なり
(社会に役立つものを売り、さらに広めてこそ真の社会貢献である)
⑦紙一枚でも景品はお客を喜ばせる、つけてあげるもののないとき笑顔を景品にせよ
(どんな些細なことしてでも、お客に喜んでいただく事をする)
⑧正札を守れ、値引きは却って気持ちを悪くするくらいが落ちだ
(付加価値を高める、値段競争に陥らない)
⑨今日の損益を常に考えよ、今日の損益を明らかにしないでは、寝につかぬ習慣にせよ
(常に数字を考えることを怠らない、思考停止しない)
⑩商売には好況、不況はない、いずれにしても儲けねばならぬ
(世間のせいにせず、頑張らなくてはならない)
商売とはモノを売って終わりではありません。
そこから次に何を成すべきか?
これが重要です。